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人を見た目で判断すること:我々は 『ルッキズム』 をどのように捉えるべきか? 

日本顔学会 関⻄支部 第4回研究会 

人を見た目で判断すること:我々は 『ルッキズム』 をどのように捉えるべきか? 

 

2023年8月5日(土)大阪樟蔭女子大学で関西支部第4回研究会を開催し、60名を超える方にご来場いただきました。今回の研究会では、日本顔学会の重鎮の3名の先生のご講演の後、「ルッキズムをどう捉えるべきか?」についてパネルディスカッションを行いました。 



まず、日本顔学会会長で、武庫川女子大学薬学部の客員教授である菅沼薫先生から「美容からみたルッキズム- 美容はルッキズムを助長しているのか-」というテーマでご講演いただきました。菅沼先生曰く「美容はすべての人に平等に施されるもので、どんな人にも寄りそうもの。だからこそ、これまで美容の中にはルッキズムという考えは存在してこなかった。」というお話とともに、直前にNHKで放送された「自分の見た目が気になるときに読む本」という番組で紹介された3冊の本を取り上げ、自分の見た目を気にすることから脱却するには、「ありのままの自分で良い」と思える自己肯定感を持つことが鍵になるのではないかというお話をいただきました。 

お二人目の甲南女子大学の米澤 泉先生からは「SNSとSDGsの狭間で‐ Z世代のルッキズム‐」というテーマで、これまでの日本女性の見た目に対する考え方の変遷をご紹介いただきました。現在のZ世代女子は、「見た目で選んで何が悪か?」という1990年代の価値観と、「見た目で判断するなかれ!」「ありのままの自分で良い」という2010年以降の価値観の両方を持っていて、場面や相手によって使い分けているように思うという興味深いお話しでした。 

最後は、日本顔学会副会長で東北大学大学院の阿部 恒之先生から「ルッキズムと顔学 ‐ パフォーマンスという視点 -」というテーマで、心理学的、哲学的なアプローチのお話も交え、魅力研究の側面からもルッキズムの解明を試みていただきました。そもそも動物の魅力は、健康な個体を見分ける方法として本能的に備わっているものであるのに、なぜ人間だけが外見至上主義に嫌悪感を感じるのか?という問いに、いろいろな視点からの考察していただきました。 

違う分野の先生が、それぞれの方向からルッキズムについて語ってくださり、より深くルッキズムを考えられるようになったその一方で、あまりにも深い話をしてくださったため、正直、より混乱してきた感は否めませんでした。混乱のままパネルディスカッションに突入しましたが、皆様の積極的な発言のおかげで、今回の研究会の小括として「ルッキズムの是非」という側面だけで考えるのは限界があり、「人の評価を上げる」という視点の両面から考えるべきものではないかということに落ち着き、有意義なパネルディスカッションになりました。懇親会では、「難しかったけれど楽しかった」というお声を多くいただき安堵しました。「ルッキズム」という言葉の日本語の意味は、まだ確立されていないので、これから日本顔学会でさらに議論を深め、現代用語の基礎知識に我々の定義づけが採用されることを狙っています。 

改めて、ご講演いただいた先生方、猛暑の中ご参加いただいた皆様、そして手弁当でご準備いただきました実行委員の皆様に心から感謝申し上げます。最後になりましたが、共催いただいた樟蔭美科学研究所 / 大阪樟蔭女子大学および武庫川化粧品イノベーションセンター(M-COSMIC)/ 武庫川女子大学 薬学部に深謝いたします。(日本顔学会 関西支部 事務局長 南野美紀) 

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