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「イケメンを科学する」

第53回顔学オンラインサロン

「イケメンを科学する」

2024年1月16日(火)

話題提供者:高橋征仁氏(山口大学人文学部社会心理学分野教授)


 好みの顔は時代によって変化することが知られているが、高橋先生によれば、世間の求めるイケメンの顔は戦後、姓選択により脱男性化、幼弱化に向かっている。

興味深いのは、その変化が自己家畜化とも言えるもので、数世代ではあるが遺伝子レベルの変化の可能性にも言及されたある意味衝撃的なご発表であった。

オオカミからイヌへ、キツネの家畜化、理想のイケメン像が次第に女性化に向かっているように見えるなど、数々の事実を挙げながらご説明された。


 あらためて、人間の性格や行動がどれだけ遺伝に左右され、どれだけが経験に左右されるのか、と自分でも考えてみた。心理学や精神医学における一大事だが、完全な解明が行われるにはまだまだ到っていない。チンパンジーがゴリラよりも攻撃的であるということが言えるのであれば、遺伝子が生物の性格に与える影響は明らかである。しかしすべてのチンパンジーが攻撃的であるわけでも、すべてのイヌが従順であるわけでもない。また、攻撃的な人の攻撃性が経験と悟りによって加齢とともに鎮まるという事例もある。

 実際のところは、両方が影響を与えているのだろう。しかし人間の変化に対して、遺伝と経験がそれぞれどの程度の役割を果たしているのかはいまだ十分に明らかになっているとは言えない。


 今回のお話では、遺伝か経験か、人の好みが一体何に左右されるのかという興味深い問題に、肉薄されていた。日本顔学会の面目躍如というべき回で、一般でも研究者にとっても興味深いものであった。


記:本多繁邦

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